House-St
- 家族構成: 夫婦+長女
- 用途: 専用住宅+農業用倉庫
- 所在地: 大分県大分市
- 構造: 木造在来工法
- 設計: 伊藤憲吾建築設計事務所 担当:伊藤憲吾、原大地、室宏
- 写真: 八代写真事務所 ※著作あり
- 施工: 西日本土木株式会社 担当:岡野
- プロデュース: 建てようネット(http://oita.tateyou.net/)
- Copyright ©: 2017 Ito Kengo Architects All rights reserved.
田んぼに囲まれた敷地に建つ住宅である。市街化調整区域に実家となる母屋があり、敷地内には納屋が寄り添うように建っていた。その納屋の建て替えを行うこととなった。1階を農業用の倉庫、2階を子世帯の居住空間とした。 田んぼは日本の風景である。水を張った水面の景色、田植え後の緑の景色、稲穂の実った黄金の景色、四季を通して変わる景色に囲まれた立地に建つ建築として、無垢なものでありたいと考えた。外観は色をなくし、形態は母屋の屋根勾配に沿わせただけである。何色にも染まる建築となった。ベランダの壁だけは稲穂の黄金色としている。収穫の時期こそ農村の景色の最も良い時ではないだろうか。 内部空間もまた無垢な空間となった。外張断熱を行うことにより木造躯体の空間を最大限に利用した。表面的の内装は一切していない。住みながら造り続ける空間となった。これは住まい手のDIYに対する意識と、近場にあるホームセンターがあったことの影響は強い。中心にらせん階段を配置し、すべての部屋は一間半のグリッドで構成されている。引き戸を移動すれば部屋の間仕切りが変わり部屋数も変わる。いわゆるnLDKという呼び名は適応できない。変化を続ける空間は、親との同居を決めた住まい手の意識の表れでもある。家族と住み続けるということは、住まいが変化を続けることでもある。時間と共に変化するライフスタイルに永く答えることができた空間となった。 これから時代は縮小していく。核家族から多世代家族へと回帰するようで、それはまた新しい時代の変化のようにも思える。 農業と日本の家族の今を表す建築になった。(2017.05完成)