works
梅本美術研究所 Umemoto Art Institute
所在地:大分県別府市大字鶴見字鶴見原
主要用途:福祉施設(就労継続支援B型・生活介護サービス)、美術教室
意匠設計:IJOm,LLC 伊藤憲吾+math一級建築士事務所 高田明日香
構造設計:きいぷらん 山下智
施工:株式会社 是永ホーム
写真撮影:原大地ケンチク設計室 原大地
Copyright ©: 2026 IJOm,LLC All rights reserved
梅本美術研究所 Umemoto Art Institute
<コンセプト>
大分県別府市に建つ、美術教室と福祉施設の複合建築である。長年この場所で活動を続けてきたが、建物の老朽化に伴い、建て替えを行うこととなった。既存建築は、鉄骨造に木の外壁をまとった味わい深い建物であり、事業主や利用者に親しまれていた。当初は改修による継続利用も検討したが、飲食店舗として建てられた建物を転用していたこともあり、現在の用途に必要な法規への適合が難しく、新築する方針となった。
別府は、山から海へと続く斜面の町である。道路にも勾配があり、駐車場の確保が計画上の課題となる。本計画では、敷地奥の空き家と共用する通路状の敷地を活用し、奥への通行に配慮しながら駐車スペースを確保した。
1階には就労継続支援B型と生活介護のための空間を、2階には美術系の進学を目指す受験生と、子どもたちのための絵画教室を配置した。入口は一つとし、それぞれの利用者が日々の出入りの中で顔を合わせる構成としている。福祉施設の利用者と、美術を学ぶ子どもや若者が、自然に交流できる場所を目指した。
外観は、既存建築の趣を引き継ぐため、当初は木の外壁を考えていた。しかし、コストとのバランスから、ガルバリウム鋼板を主体とする計画へと変更した。それでも、利用者や子どもたちの手が触れる場所には、木の質感を残したいと考えた。
その折、地元でフローリングを製作する企業から、製造過程で生じる丸太の残材を活用できないかという相談があった。そこで、桧の辺材を1階の外壁の格子として用いることとした。樹皮の残る不揃いな木材は、粗野でありながら、一つひとつ異なる表情を持つ。その質感が、美術や創作に関わる人々の想像力を刺激することを期待した。
格子の背後には、隙間から差し込む紫外線に対応したドイツ製の透湿防水シートを採用している。格子は将来の交換にも配慮し、必要に応じて再び製材時の残材を活用できるようにした。建築の一部に資源を循環させながら、地域の素材を使い続けていくことを考えている。
内部空間は、利用者の活動を受け止める背景に徹するよう、色や素材の表情を抑えた。視覚的な刺激が多いと落ち着きにくい利用者への配慮と、絵を描く人に余計なイメージを与えたくないという考えによるものである。開口部も必要な採光を確保しながら絞り込み、2階の教室にはオークの無垢フローリングを用い、足元に木の質感を添えた。
2階の教室を隔てる壁は、移動できる収納家具としている。生徒数や授業内容の変化に応じて、教室の広さや使い方を調整できる仕組みである。建築が変化を柔軟に受け入れることで、美術教室のこれからの運営を支えたいと考えた。
大きな家の形をした建築に、異なる世代や多様な人々が集まる。親しまれてきた場所の記憶を引き継ぎながら、それぞれの表現や豊かな想像が育まれる場所を目指した。
<構造・工法>
主体構造:木造在来工法
基礎:べた基礎
<規模>
階数:地上2階建て
敷地面積:286.49㎡
建築面積:108.00㎡
延べ面積:176.00㎡(1階88.00㎡、2階88.00㎡)
<工程>
設計期間:2024年4月~2025年1月
工事期間:2026年2月23日~2026年6月26日
完了検査:2026年6月29日
<外部仕上げ>
屋根:カラーガルバリウム鋼板小波葺き、一部平葺き
外壁:カラーガルバリウム鋼板小波張り、一部桧辺材格子張り
サッシ:樹脂製 APW330(YKK AP)、一部アルミ樹脂複合サッシ サーモスⅡ-H(LIXIL)
<内部仕上げ>
床:長尺ビニルシート貼り(1階)、オーク無垢フローリング(2階)
壁:クロス貼り
天井:クロス貼り
断熱:屋根/高性能グラスウール厚200mm、外壁/高性能グラスウール厚105mm、基礎/押出法ポリスチレンフォーム厚50mm





















