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姫島の家
- 家族構成: 夫婦、子供二人、猫1匹
- 用途: 専用住宅
- 所在地: 大分県姫島村
- 構造: 木造 在来工法
- 設計: 伊藤憲吾建築設計事務所
- 写真: 原大地(原大地ケンチク設計室)
- 施工: 直営工事
- プロデュース: IKA
- Copyright ©: 2019 Ito Kengo Architects All rights reserved
- 大分県北の離島・姫島村で住宅を設計した。瀬戸内海にある姫島は人口は約2000人であり、日本の少子高齢の縮図のような状態でもある。施主は島民であり、姫島の観光を推進する立場にあった。設計するにあたって、観光に来た方へ与える景観としての島らしさを目指すことを話したが、施主からは島の若者が住みたいと思える新しさを要求された。外からの視点と中からの視点を意識することが最初の設計課題となった。
設計は島の大工さんとも話し合いながら進めた。これは施主の希望であったが、島における家づくりの信頼は大工さんに在った。大工さんは設計者に全幅の信頼を置いてくれた。建築を設計するというのはチームプレイのようなところもあり、建築の形もそこから導かれる部分がある。いくつか設計を重ねていく中で、大工さんの見せ場としての大黒柱の存在が生れた。力強い大黒柱は構造的に支えるだけではなく、施工した大工さんの存在も感じるものとなった。新しい建築を造る中でこれまでの信頼関係を引き継ぎたいという想いもあった。
施工に際しては島の中だけでは専門職人が足りず、島の外からの応援も頼むことにした。結果として分離発注形式を選択した。現代の家づくりは既製品の組み合わせとも言える。離島にとってもそれは均質な生産体制ではあるけれど、流通に頼る造られ方であり、ややネガティブな発想にも見えた。商品の流通よりも職人の流通に努め、造られ方をポジティブなものにしたかった。
島は海に囲まれており塩害は常に考えなければいけない。塩分によって溶けてしまったアルミサッシも見られた。雨が降らない日が続くときはホースで散水するらしい。そのことから軒を無くし雨のたびに壁面窓面が洗い流されることにした。これは材料技術の発達した現代だからこそできる形であり、形骸化せず島の家の在り方を示す形となった。外壁屋根材の選定は船便で運搬しやすい小部材のコロニアル葺きとしている。
離島は必然的に都市が拡幅しない。よって道路も敷地も比較的狭小である。敷地の形状により二棟形式にしている。小さい棟は西日を遮る役割も果たしている。この住宅は将来のコンバージョンも視野に入れている。民宿が行いやすい平面計画をしている。個室は宿泊室を想定し、リビングは共用食堂、水回りを別棟に配置することでプライバシー性を高めている。住宅は大きな借金の上で生まれるが建築とは経済行為である。島の将来はこれから大きく変わると考えられる。その際に様々な可能性を残したいと考えた。
島の将来は、人口減少の始まった日本の縮図である。この一つの建築が未来を示唆している。離島で設計をすることで見えてきた未来があった。
<設計概要>
所在地/大分県東国東郡姫島村
主要用途/専用住宅設計
建築設計 伊藤憲吾建築設計事務所
担当/伊藤憲吾、室宏(元スタッフ)、原大地、河野秀一施工
(分離発注方式)
大工工事他:鹿野工務店
屋根外壁工事:大好産業
住宅設備機器他:大分住器
建材他:関建材
木製建具工事:wood Road Inuyama写真撮影
原大地構造・工法
主体構造 木造在来工法規模
階数 地上2階建て
敷地面積 205.46㎡
建築面積 106.09㎡
延べ床面積 120.99㎡工程
設計期間
2018年04月~2018年12月
工事期間
2019年01月~2019年09月20日外部仕上げ
屋根/コロニアル葺き
外壁/コロニアル葺き
開口部/断熱サッシ内部仕上げ
主室
床/欅無垢フローリング
壁/ クロス張
天井/ 剛面表し設備システム
空調 冷暖房/エアコン
換気/第三種換気
給排水 上下水道
給湯 エコキュートGOODDESIGN賞2020 受賞
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